2004/11  秩 父 俳 句 道 場

水潜寺(すいせんじ)紹介
  
秩父第三十四番 日沢山 曹洞宗

ご本尊 千手観世音菩薩
 
札所の三十四番は、百観音の大悲を一寺に集め御利益を得体との願いにより、西国坂東秩父各三十三の札所に一ケ寺を加え水潜寺が日本百観音結願寺になったと伝承されている。観音堂前には百観音宝前のお砂なを納めたお砂踏みがありこの上で拝めば百観音巡礼の功徳が得られると信じられています。結願したら「みずくぐり」の岩屋で身を清めてから俗界へ帰るのが習わしになっている。

水潜寺に句碑が建立されました。句碑除幕式アルバム

曼珠沙華どれも腹出し秩父の子  金子兜太
2004/11 秩父俳句道場記

第一次句会 〈幹事のため忙しく句評が聞けず抜けたところがあります〉


金星と木星相寄り蛇穴に     兜太


金子先生入選句

眠たさの流れ野菊の白さかな         田口満代子
  金子先生評・柔らかな静かな感性が良いが「白さ」が甘い

穂絮とぶ風こそばゆい空だから    志摩京子
   金子先生評・秋の空気の質感が的確である 

山祇や農の暦に蕎麦刈れと       遠藤秀子
  参加者表 ○山の神に命令されたととった。 ○しっかり書けている。
         ○「農」がくどい」  ○山祇が解らない○「刈れと」に 作者の気持ちが出ている。

  金子先生評○山祇と付きすぎ、常識を感じるが蕎麦で取った。

竜胆やガラスくもるは急ぐ用      矢野千代子
   金子先生評○中七の細やかな心情、竜胆がいい

紅葉かつ散るふっとプリンの作り方   宮崎 斗士
   金子先生評 ○「作り方」とまで言ったのが新しく、きめの細かい感性

酸っぱい椋の実だカヤックでも漕ぐか  高橋たねを
   金子先生評○上流の流れが見えてくる

いのこずちみんな待ってる靴の音  伊地知建一
   金子先生評○愛嬌でとった

柞黄葉水の欠らになる眼〈まなこ〉  清水  伶
    参加者評 ○雰囲気がイメージと合っている。○下のフレーズが魅力的
           ○中、下が気取り過ぎ ○感覚が効いている
           ○中七下五が曖昧だが柞黄葉が効いている

   金子先生評 ○上も下もいい。水の欠らのキラキラと流れる感じと柞黄葉が合っている。

草の絮握力というとりとめのなさ  金子 斐子
    「という」書き方に賛否両論がありました。

     金子先生評○「という」は海程が開拓した言い方て市民権を得ているがまだまだの解りづ
      らい感がある。俳句形式を大事にしている人たちにとっては疑問であり、韻律、内容のぼかしを
     認めるかどうか。感性の細やかさの表現をどう書くかになってきている。


蕎麦がらも腕のまくらも疲れたり   河西 志帆
     金子先生評○蕎麦がらとの配合捨てがたし

渓もみじオペラ座の傾きであり   清水  伶
     参加者 ○オペラ座の座席と渓紅葉のイメージが合う
          ○オペラ座が良い ○付きすぎではないか
          ○切れ味よし ○吟行句として個性的

     金子先生評○映像的でありパンチが強い。オペラ座の持つ美意識と合っている。

鍵かけて寒がる金魚を置いてきた    河西 志帆
     金子先生評○一寸面白いところに気ずいた

冬構断固眠らぬ岩もあるかな      阿保 恭子
      参加者評○力強さかいい ○言葉が固いが冬構えが効き心情を託している
            ○冬構え過ぎ ○上手いが性に合わず

      金子先生評○固い踏ん張った句が市民権を持ち始めた。まあまあの句。

山霧に蛸部屋ありて深入りす      安西 篤
      金子先生評○山霧に深さに対して思いを書いている。不気味さが書けている。
 

ぐずぐずの大荷物なり葛かずら     山中葛子
       金子先生評○即物で感覚の面白さ

咎めるほど籾殻に雨しみており      矢野千代子
       金子先生評○上五の見立て良し

妻と来てぬぬっと沼に呼吸根      福富健男
       金子先生評○面白い実感あり
 


  第二次句会


  遊俳や朝寝も昼寝もすべて季語       兜太


赫をもつ石の磊落曼珠沙華        田畑 桃里
   金子先生評 ○風景が集約され上手

木の実降る拇印のすっと乾くよう   宮崎 斗士
   金子先生評 ○漠然とした感覚があり、上五と中七が合わないと
             思う人もいる。

照る紅葉眼科へ行くに高揚す     大森 芳子

曼珠沙華草の寺に半日実顔〈まことがお〉日高 玲
    金子先生評 ○ 実顔という言い方が好き

紅葉かつ散る恋なんてすぐできる   六車 幸江
     金子先生評 ○気軽な句のよさ

渓紅葉浄土絵巻よ碑〈いしぶみ〉よ   黒岡 洋子
     金子先生評 ○浄土絵巻とまでよく言えた

山の子は山を見つめる曼珠沙華     野崎 憲子
      金子先生評 ○素朴な句

露の寺あめつち懐かしい疲労      河西 志帆

劇中劇のように子供ら曼珠沙華     芹沢 愛子
      金子先生評 ○客観的にとれば曼珠沙華の中の子供たちが劇中劇の
                ように見える。よく解る作品


草の実のスカート回す好きな季〈とき〉  遠藤 秀子
      金子先生評 ○上五中七が好きな句

まっさら佳し深秋の袈裟ゆったりと   矢野千代子
      金子先生評 ○この言い切りが良し


話題作

荒川青しぶき十一月は死に体
       金子先生評 ○十一月が死に体という考えと荒川が死に体という
               二通りの読みがある。曖昧であり面白いが出来損ないの句。


秋の陽や裸子植物は腹を出し
        金子先生評 ○私の句をもじり感情移入している。作り方があぶない。
                 秋の陽が平凡




第3次句会


    
冬眠も成らずや眼光のみの蛇    兜太

     〈高点句でした。天変地異の今の状況と自分が重なり深い句という評が多かった〉
  
 
秋青し塔は消音の彩り      吉澤てるよ
   金子先生評 ○きめ細かい色彩感

狐罠ふと感情をもてあます    小長井和子
   金子先生評 ○季語がとても良い

蚯蚓鳴く地軸ゆらぐが怖いのだ  小宮 豊和
    金子先生評 ○中七下五のおどけた言い方が面白い

えのころに足とられぼくの脱藩   高橋たねを
     金子先生評 ○ハルオ・シラネが俳句とは記憶の集積と言ったが
             俳諧的想像力の解釈が自分の脱藩とも武士の脱藩とも
             いろいろに取れる。この句は自分の世界を喩えて言って
             いるが喩えに拘った。

昼星をあびているはず河原鶸    山中葛子
      金子先生評 ○中七の丁寧に言い方が良い

菊花展酔えばしみじみ父の匂    高橋 一枝
       金子先生評 ○心情深し

秋谷に蚕〈こ〉しぐれを聞くねむりかな   黒岡 洋子
      金子先生評 ○土俗のよさたが、秋がもたれる

語らいて好きな風ふく草紅葉       高橋 安子
       金子先生評 ○上五中七がいい。まあまあ

高嶺星わたしの二泊もみずれり      阿保 恭子
       金子先生評 ○二泊が出来合い

芒原現世いけるところまで        高橋 明江
      金子先生評 ○ぶっきらぼうな言い方が好き

湯気のように笑いあう旅川紅葉      芹沢 愛子
       
金子先生評 ○気持のいい句で川紅葉と照合とあっている。



 
先生の句碑除幕式をはさみ、いつもより句会が少なかったが、カナダより
ホーンさんを迎え充実した句会でした。また来年の春には大勢を迎えて
勉強したいと思います。先生有難うございました。〈遠藤記〉



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