金子兜太 2006.9.23〜24 比叡山勉強会
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穴太積みと彼岸花
坂本の町

穴太積み

矢野さん挨拶

金子先生 乾杯

精進料理
生湯葉が旨かった

延暦寺から琵琶湖を望む

第1次句会

特別選者の皆さん

編集長を囲む懇親会
第2次句会
特別選者

記念撮影

記念写真
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第1次句会


 秋照りの近江一隅に佇ちて     金子兜太


 比叡山延暦寺のアクセスは京都からバスと湖西線とがあるが、私は湖西線で坂本
から行くことにした。坂本の日吉大社参道は穴太積みの石垣が残っていた。ケーブ
ルで約十分で展望台に着く。琵琶湖が光り、このゆるやかな景色は近江なんだなあ
と見とれた。

ケーブルで出会った海程の仲間と宿坊へ受付を済ませてお風呂へ行く。琵琶湖を見
ながらゆっくりと入った。

 今日は先生の誕生日、一遍忌でもあると先生の挨拶があった。夕食は精進料理で
赤い蒟蒻が歯ごたえがあり珍しかった。

 第一次句会はベテランの岩佐氏、北川氏、野田氏、廣島さんの特別選者たちと若
森さんの司会で始まった。

 高点句の「鳥渡るずいぶんおしゃれな名刺だな(芹沢愛子)」。季語の切れが決
まった。表現がストレート。名刺に対する意識の確認と日常っぽい言い方がいい。
中七下五が軽いのに季語が重い。名刺交換なのに「鳥渡る」という屋外の季語が変
ではないか。金子先生は「中七下五がユニークでよく解る面白い句で情感はがあり
頂けるが普通の句」。

「水引草に触れた時間が入り口です(宮崎斗士)」。気持ちの高揚感、新しいもの
に向かう自分の気負いを書いている。挨拶では。「水引草の花」とまで言わないと
季語として成立しないのではないか、いや「水引草」だけでも成立するはずと意見
が出た。

先生は、中下五が言い得ていて上手いので入選句だ。何か新しいことをする時の気
持ちが書けている。

金子先生は、今日の句稿は問題作が多いので選に手間どった。その問題句の幾つか
挙げます。

問題句 (内は先生の評です)

一斉にかなかな核は皆石にする   (気持ちも現実感もあるが石が解らず)

秋の蚊に馬の匂いのするつながりや (中七下五がぎこちない)

青き琵琶平家語りも沈黙す     (上五ができあがっていない)

山霧を張り巡らしている僧侶    (中七の言い方に質感は有るのか)

せっせっせユダの紛れる蟻の列   (上五が浮気っぽい言い方)

熟れかかる石榴に必ず鍵の穴    (下五が強引でこの見方が解らない)

今死ねば手足が困る百足かな    (フィクションのおどけ過ぎ)

秋の蚊に悪しき血潮をくれてやる  (中七が妙なナルシズム)

まだありましたが・・・・。


入選句(内は金子先生の評)

曼珠沙華土を怖がる子供ゐて     小宮 豊和
  (率直で曼珠沙華と連脈が有り)

老僧の苦笑のような晩夏とは     森 美樹
  (とは、ではなく、かなとさらっとする)

水面てふ識閾残んの百日紅      柚木紀子
  (識閾が適切で的確、このガンバリ良し)

風白し青に染まらん石の床      鈴木幸江
  (染まらんに心の名残を感じる、感覚良し)

晩餐の椅子拭ひけり穴まどい    日高 玲
  (拭ひけりと穴まどいの質感がつながる)

つりがね草読点くっきりと挨拶    宮崎斗士
  (感覚の効いた句、読点がよろし)

回峰なり巧みに積乱雲を生み     武田伸一
 (回峰の句として非常によく書けている)

葛の谷坐して鳥待つ僧一人      遠藤秀子
 (中七はいいが一人が甘い)

赤とんぼ皇子(みこ)の戻らぬ朱雀門  増田天志
 (中七のペーソス)

直感は流星のよう闇の海       森美樹
 (上五中七がとてもいい)

烏瓜の花壺に満つ母の骨      中山正子
 (感覚がしっかりしている。中七が良い)

僧兵も混じるモノクロ映画かな   久保智恵 
  (時代の雰囲気があり面白い)

モアイかな立てて並べる夜干藁   稲葉千尋
  (下五に土地の感じあり)

彼岸花尿意心頭に達したる     植村金次郎
  (このオーバーな言い方に実感)

くずきりや比叡のお山を一口に   中山正子
  (くずきりが良いが中七下五が少しありきたり)

初あらし花を摘み摘みほとけさま  遠山 郁好
  (素朴な柔らかな心情)

曼珠沙華われもまた地より湧きたり 小宮 豊和
  (この胸の内の言い方が好き)

山上は焦げ臭きかな山楝蛇     加藤青女
  (山上のこの感覚はある)

秋来るは遠いはずの船のよう    堀真智子
  (発想が気ままで自由がいい)

影立てて秋のさざ波愚のよろし   鈴木幸江
  (上五の感覚が効いている)

ちょこっと千年がたち穴惑い    芹沢愛子
 (さっと書いて上手)



第2次句会

  紫苑に人々湖面の雲を見ていた   金子兜太


入選句(内は金子先生の評です)

僧三人自然薯という厄介なもの      若森京子
 (僧三人で決まった)

いぼむしり走り根に隕石が降る      遠山郁好
 
(いぼむしりが不思議な発見)
僧の肉声薑の夕餉どき           若森京子
 (肉声が生々しい)

爽涼の湖底や根本中堂あり         岩佐光雄
 (ありという言い方良し)

秋風や映ればカミとなる鏡         野崎憲子
 (中七下五で荘厳なものが生まれている)

内陣を窺ふごとし露の玉          柚木紀子
 (下五が良い)

鳰のうみまんだらにねる九月蚊帳      田中昌子
 (ナイーブな生理感、秋の蚊帳の方が良い)

手枕に少しの狂気螻蛄鳴けり        黒岡洋子
 (上五中七が大人つぽい)

釈迦堂に通いの尼僧蔓りんどう       森武 晴美
 (通いとまで言えたのよい。季語良し)

櫨の実やまっしぐらなりランナーなり     太田順子
 (中七がいい。「実や」ではなく「実の」が良い)

いつからの老女湖に吹き込む秋の風      麻生圭佑子
 (いつからの老女という惚け方良し)

吾亦紅光も影も青年僧            野崎 妙子
(中七良し、省略が効いている)

暁やもどかしいほど曼珠沙華         遠山 郁好
 (中七が咲き誇った曼珠沙華そのもの)

如意ヶ嶽いっしんに掘る蝶の嘴        武田 伸一
 (嘴が良し)

月の夜は月の梵鐘撞きたまえ         増田天志
 (撞きたまえという柔らかな言い方良し)

男郎花眉間のいきいきと旅路         宮崎斗士
 (季語と配合が良い)

三段に稲架を組いる穴太衆          稲葉千尋
 (好きな句。土着性が見える)

ふくらみや尼僧のほほえみ金木犀        室田 洋子
 (ふくらみで尼僧の艶が感じられる)

色鳥や根本中堂というがあり          武田 伸一
 (いうがありが上手い)

最澄の山は飽きたか大蚯蚓           小山やす子
 (人間が出しゃっばって書いているのが面白い。勝手に書くと新鮮な発想があり
 。野生の生々しさ)


五体満足しかし案山子に似たる哉        小宮 豊和

新藁の円座最澄横座り             白川温子
 (几帳面な句)

一遍忌叡山に赤きこんにゃく         らふ亜沙弥
 この句は最高点句でした。前日の夕食に真っ赤なこんにゃくが出ました
 (この句は気が利いていて感心した。なかなかの手腕とウイットがある)

退屈と書く芋虫の容(かたち)かな      小林寿美子
 (高点句でした。容がいい)



  第2次句会のアップが遅くなりました。



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